相続した実家を売るまでの流れ|知立市・西三河の不動産売却

◆相続した実家の売却手順を、相談先の選び方から引渡しまで解説します。2024年に義務化された相続登記、遺産分割協議がまとまらないとき、兄弟で希望価格が違うときの考え方まで。知立市の不動産会社が実務の視点でまとめました。
▼相続した実家を売るまでの流れ▼
はじめに
親が亡くなり、誰も住まなくなった実家が残った。
「そのうち考えよう」と思っているうちに、一年、二年と過ぎていく。固定資産税の通知だけが毎年届き、庭の草は伸び、近所から連絡が来る。
こうしたご相談を、私たちは日常的にお受けしています。
この記事では、相続した実家を売却するまでの流れを、最初にどこへ相談すべきかというところから順にご説明します。実務のなかで多くの方がつまずくポイントも、あわせてお伝えします。
そもそも、どこに相談すればいいのか
最初の壁がここです。
相続と不動産の手続きには、複数の専門家が関わります。それぞれ役割が違い、すべてを一か所で完結できる窓口がありません。 これが「何から始めればいいか分からない」の正体です。
誰が何を担当するのか
相談先 | 担当すること |
|---|---|
司法書士 | 相続登記(名義変更)、遺産分割協議書の作成 |
税理士 | 相続税の申告、譲渡所得税の試算 |
弁護士 | 相続人同士が争っている場合の交渉・調停 |
不動産会社 | 売却価格の査定、販売活動、買主との契約 |
市区町村 | 戸籍謄本の取得、空き家に関する補助制度 |
最初の一歩としてお勧めする順番
争いがない場合は、不動産会社からでかまいません。
理由は3つあります。
第一に、判断の材料が価格だからです。 「いくらで売れるのか」が分からないと、売るのか、貸すのか、持ち続けるのかを決められません。相続人同士で話し合うにも、まず金額の目安が必要です。
第二に、手続きの全体像を示せるからです。 不動産会社は相続案件で司法書士や税理士と日常的に連携しています。何をいつまでにやるべきか、順番を整理してお伝えできます。
第三に、査定が無料だからです。 司法書士も税理士も相談料が発生することがありますが、不動産の査定は費用がかかりません。最初の一歩として負担が軽い。
ただし、相続人同士ですでに争いになっている場合は違います。 その場合は弁護士が先です。不動産会社が間に入ると、かえって話がこじれることがあります。
全体の流れ
相続した実家を売却するまでは、大きく7つの段階に分かれます。
1. 相続人と財産を確認する
2. 遺産分割協議で分け方を決める
3. 相続登記で名義を変更する
4. 査定を受けて価格を把握する
5. 媒介契約を結んで販売する
6. 売買契約・引渡し
7. 翌年に確定申告順に見ていきます。
STEP 1 相続人と財産を確認する
戸籍を集める
まず、誰が相続人なのかを確定させます。
亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要です。転籍や結婚で本籍地が変わっていると、複数の市区町村から取り寄せることになります。
ここで想定以上に時間がかかる方が多い。郵送で請求すると、一つの役所につき1〜2週間かかることもあります。全部そろえるのに1〜2か月を見ておいてください。
なお2024年3月から「戸籍の広域交付制度」が始まり、最寄りの市区町村の窓口で他の自治体の戸籍もまとめて請求できるようになりました。以前よりは楽になっています。
財産の一覧を作る
不動産、預貯金、有価証券、そして借入金。プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も確認してください。
不動産については、市区町村から届く固定資産税の納税通知書を見れば、所有していた物件が分かります。見当たらない場合は、市区町村で「名寄帳」を取得すると、その自治体内の所有不動産を一覧で確認できます。
STEP 2 遺産分割協議で分け方を決める
相続人が複数いる場合、全員の合意が必要です。一人でも欠けると成立しません。
つまずきポイント① 協議がまとまらない
実務でもっとも多い停滞がここです。
不動産は預貯金と違って、きれいに分けられません。「長男が実家に住み続ける」「売って現金で分ける」「しばらく空き家のまま保有する」——それぞれに事情があり、簡単には決まらない。
まとまらないまま数年が経過し、その間に相続人の一人が亡くなってさらに相続人が増える、というケースもあります。こうなると話し合いは一段と難しくなります。
動かないことのコストは、思っているより大きいです。
分け方の4つの選択肢
方法 | 内容 | 向いている場合 |
|---|---|---|
現物分割 | 不動産はAさん、預貯金はBさん | 財産の種類が複数ある |
代償分割 | Aさんが不動産を取得し、Bさんに現金を支払う | 誰かが住み続けたい |
換価分割 | 売却して現金を分ける | 誰も住まない・公平にしたい |
共有分割 | 全員で共有名義にする | 原則おすすめしません |
共有名義は避けてください。 その場では平等に見えますが、後で売るときに全員の同意が必要になります。誰か一人が反対すれば売れません。相続が重なれば共有者はさらに増え、収拾がつかなくなります。
「とりあえず共有にしておこう」が、10年後の紛争の種になります。
つまずきポイント② 兄弟で希望価格が違う
これも非常に多い。
「もっと高く売れるはずだ」と主張する方と、「早く手放したい」と考える方。どちらの言い分にも理由があります。
背景にあるのは、たいてい情報の差です。遠方に住んでいて建物の傷み具合を見ていない、近隣の成約事例を知らない、解体費用がいくらか分からない。そうした差が、価格への期待の違いになります。
解決策は、全員が同じ資料を見ることです。
私たちがご相談を受けるときは、相続人全員に同じ査定書をお渡しします。過去の成約事例、建物の状態、想定される費用。根拠を並べたうえで「この価格帯です」とお伝えする。
不思議なもので、第三者が同じ資料を全員に示すと、話が進むことが多い。 身内同士だと「安く売って自分だけ損をするのでは」という疑心が生まれますが、外部の資料があるとそれが薄れます。
遠方の相続人には、現地の写真をお送りします。「建物が古い」と文章で伝えられるより、実際の傷み具合を目で見た方が納得していただけるからです。
遺産分割協議書を作る
合意ができたら、書面にします。相続人全員が署名し、実印を押し、印鑑証明書を添付します。
この書類がないと、相続登記ができません。 つまり売却も進みません。
書式に決まりはありませんが、不動産の表示は登記簿の記載どおりに書く必要があります。誤りがあると登記が通りません。司法書士に依頼するのが確実です。
STEP 3 相続登記で名義を変更する
2024年から義務になりました
2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。
不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記を申請しなければならず、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。
重要なのは、この義務が過去の相続にもさかのぼって適用されることです。2024年より前に相続した不動産でも、まだ登記していなければ対象になります。
「親が亡くなってから何年も経っているから今さら」ではありません。むしろ急ぐ必要があります。
3年以内に間に合わないときは
遺産分割協議がまとまらず、期限に間に合わないこともあります。
その場合は 「相続人申告登記」 という簡易な手続きがあります。「私はこの不動産の相続人です」と法務局に申し出るもので、これをしておけば義務を果たしたことになります。
ただしこれは名義変更ではありません。 売却するには、あらためて相続登記が必要です。あくまで過料を避けるための一時的な措置と考えてください。
売却には登記が必須です
登記が済んでいない不動産は、売ることができません。買主に所有権を移せないからです。
ただし、登記が終わっていない段階でも不動産会社に相談することはできます。 査定を受け、売却の見通しを立てながら、並行して登記を進める。この方が時間を無駄にしません。
費用の目安
登録免許税:固定資産税評価額の0.4% (評価額1,000万円なら4万円)
司法書士報酬:数万円から十数万円程度
相続人の人数、不動産の数、戸籍収集を依頼するかどうかで変わります。見積もりを取ってから判断してください。
STEP 4 査定を受けて価格を把握する
机上査定と訪問査定
机上査定は、過去の成約事例や公的データから概算を出すものです。1〜3営業日で結果が出ます。「だいたいの目安を知りたい」段階ならこれで十分です。
訪問査定は、実際に現地を見て精度を上げます。建物の傷み、境界の状況、接道、法令上の制限などを確認します。売却を具体的に検討する段階ではこちらが必要です。
高い査定額に飛びつかない
複数社に依頼すると、金額に差が出ます。このとき一番高い会社を選ぶのは危険です。
媒介契約を取るために高い数字を出し、売れないと分かってから値下げを重ねる。この手法は業界で珍しくありません。結果として、適正価格で最初から売り出した場合より安く、しかも長期化することになります。
見るべきは金額ではなく根拠です。
なぜその価格なのか説明できるか
どの成約事例を参考にしたのか
どれくらいの期間で売れる想定か
売れなかった場合にどうするのか
これらに具体的に答えられる会社を選んでください。
空き家の場合に確認すること
長く空き家だった実家は、次の点で価格が変わります。
建物の傷み — 雨漏り、シロアリ、給排水管の劣化
境界の確定 — 未確定なら測量が必要(35〜80万円程度)
残置物 — 家財の処分費用
接道 — 幅員4m未満の道路にしか接していないと、再建築に制限がかかることがあります
STEP 5 媒介契約を結んで販売する
3つの契約形態
種類 | 他社への依頼 | 自分で見つけた買主 | 報告義務 |
|---|---|---|---|
一般媒介 | できる | 直接取引できる | なし |
専任媒介 | できない | 直接取引できる | 2週間に1回以上 |
専属専任媒介 | できない | できない | 1週間に1回以上 |
相続した実家の売却では、専任媒介を選ばれる方が多いです。
一般媒介は複数社に頼めますが、どの会社も「他社に取られるかもしれない」と考えるため、広告費をかけにくい。結果として販売活動が手薄になることがあります。
専任なら1社が責任を持って動き、定期的に進捗報告を受けられます。遠方にお住まいの方は特に、報告があることが安心につながります。
売却期間の目安
販売開始から成約まで、3〜6か月が一般的な目安です。
物件の条件、価格設定、時期によって変動します。急ぐ事情がある場合は、価格を抑えるか、買取業者への売却を検討することになります。買取は市場価格の7割程度が目安ですが、確実性と速さがあります。
STEP 6 売買契約・引渡し
買主が決まったら、売買契約を結びます。手付金を受け取り、通常は1〜2か月後に決済・引渡しとなります。
遠方にお住まいの場合
現地に何度も来られない方も多いはずです。
司法書士に委任すれば、決済に立ち会わずに手続きを進めることができます。 書類のやり取りは郵送で済みますし、契約についても事前に条件を確認したうえで進められます。
「愛知まで何度も行けないから」という理由で売却を諦める必要はありません。
STEP 7 翌年に確定申告
売却して利益が出た場合、翌年の2月16日〜3月15日に確定申告が必要です。
使える特例
相続空き家の3,000万円特別控除
一定の要件を満たす相続空き家を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。主な要件は次のとおりです。
昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
相続開始の直前に被相続人が一人で住んでいたこと
相続後、賃貸や事業に使っていないこと
耐震基準を満たすか、更地にして売ること
適用期限が定められています。 該当しそうな方は早めに確認してください。
取得費加算の特例
相続税を納めた方は、その一部を取得費に加算して譲渡所得を圧縮できます。ただし相続開始の翌日から3年10か月以内という期限があります。
所有期間による税率の違い
売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得、5年以下なら短期譲渡所得となり、税率が大きく変わります。相続した不動産は、被相続人の所有期間を引き継ぎます。
いずれも要件が細かく定められています。個別の判断は税理士か税務署にご確認ください。
全体でどれくらいかかるか
段階 | 期間の目安 |
|---|---|
戸籍収集・相続人確定 | 1〜2か月 |
遺産分割協議 | 数週間〜数年 |
相続登記 | 2週間〜1か月 |
査定・媒介契約 | 2週間 |
販売活動 | 3〜6か月 |
契約〜引渡し | 1〜2か月 |
順調に進んで半年から1年。遺産分割協議で止まると、それ以上かかります。

まとめ
相続した実家の売却で、押さえておきたいのは4点です。
1. まず相談する。 価格が分からないと、何も決められません。査定は無料です。
2. 共有名義にしない。 その場しのぎが、後の紛争になります。
3. 相続登記は義務。 2024年から3年以内の登記が必要です。過去の相続もさかのぼって対象になります。
4. 情報を全員で共有する。 兄弟間の意見の違いは、多くの場合、情報の差から生まれます。同じ資料を見れば話が進みます。
ご相談について
不動産のいっきゅうでは、知立市・刈谷市・安城市・豊田市・岡崎市・西尾市・みよし市の相続不動産のご相談を承っています。
相続登記が済んでいない段階、遺産分割協議がまとまっていない段階からご相談いただけます。提携する司法書士・税理士と連携し、手続き全体を見通してご提案します。
査定は無料です。売却をお決めでなくても構いません。「いくらくらいなのか知っておきたい」というご相談が、実際もっとも多くいただくものです。
県外にお住まいの方は、現地の様子を写真でご報告します。ご来店は必須ではありません。
▶ 無料査定・ご相談はこちら
不動産売却・無料査定|相続・空き家|知立市・西三河|不動産のいっきゅう
お電話:0566-95-6474 平日10:00〜18:00/土日祝もご予約で対応します
